多彩な疾患が考えられますので,早期の受診と画像診断が必要です。
生来肩が緩い(ルースショルダー)などのほか、構造的な問題よりも機能的な問題(肩の働きが落ちている状態)が考えられますので、正確な診断と理学療法(リハビリ)が必要です。
肘が痛む場合には、テニス肘のような肘外側の痛みを日常生活で感じる上腕骨外上顆炎も多くみられます。
夜間痛を伴う関節可動域制限が強い場合は五十肩(凍結肩)である可能性が高いです。安静(痛みを伴う動作を避けること)と注射や薬などで疼痛管理を行うことが大切です。また、五十肩(凍結肩)との診断が下っていても、なかなか改善しない場合は、腱板断裂や石灰沈着性腱板炎である場合も少なくありません。また、変形性肩関節症(一次性)である可能性もありますので、早期の受診により正確な診断と適切な治療をお受けになることをお勧めします。
膝関節や股関節のように関節の変形により痛みや可動域制限がおこる変形性肩関節症(一次性)や、長年に亘る大きな腱板断裂が原因で、腱板断裂性関節症と呼ばれる変形性肩関節症(二次性)になっている場合が考えられます。最近では肩でも技術の進化により、以前に考えられているよりはるかに低侵襲な人工肩関節置換術で痛みも取れ動きも良くなるようになりました。
生まれつき肩関節が緩いことにより起こる疾患で、思春期頃痛みや外れやすさで発症し、女子に多いが男子にも起こります。
基本的にリハビリで症状は改善しますが、稀に手術を要することがあります。
腕は上がるが降ろすときに引っかかったり痛みが出るなどの症状が特徴です。
腱板断裂や石灰沈着症など構造的な異常があって引っかかる場合と、構造的な異常がなく純粋に機能的な問題で引っかかる場合があります。
まず理学療法(リハビリ)を試みますが、腱板断裂や石灰沈着症の場合は手術を要することがあります。
50代や60代など比較的若い方は外傷の既往があることが多いですが、高齢になるほど外傷歴がはっきりしないことが多くなります。
症状は、断裂の大きさや形態により様々ですが、夜間痛や安静時痛がある場合はまず注射や内服薬などで消炎処置を行い、リハビリで機能改善を図ると症状が軽減するなど、保存療法も効果があります。
ただし、手術が必要と判断された場合は、手術(関節鏡視下腱板修復術)を行います。
40代以降で、外傷などの誘引なく肩関節の痛みと可動域制限が起こる疾患です。
一番つらいのは炎症期で、夜間痛が強く眠れない、日中もちょっとした動作で激痛が走るなどの症状があります。
まず局所の安静と薬の内服や注射による消炎が必要で、夜間痛が取れてからリハビリへと移行しますが、稀に手術を要する場合があります。
適切な時期に適切に管理できれば、通常後遺症なく治癒します。
レントゲンで肩関節に石灰沈着がみられます。
症状は石灰の場所や大きさにより多彩であり、動作時の痛み、関節可動域制限、または肩インピンジメント症候群のような引っ掛かりが主な症状であることがあり、適切な診断の元に症状にに応じて治療します。
多くは注射療法やリハビリなどに良く反応しますが、手術(関節鏡視下石灰摘出術)を要することもあります。
股関節や膝関節と同様に、関節面の軟骨が摩耗して消失し変形のために痛みと関節可動域制限を来す疾患です。
早期の場合は、保存療法や関節鏡視下手術で対応できますが、進行期になると人工肩関節置換術が必要になります。
腱板広範囲断裂が長期にわたって放置され、骨頭が肩峰下に突き上げて腕が上がらない状態です。
痛みと力が入らないのが訴えで、リバース型人工肩関節置換術の適応となります。
テニス肘とも呼ばれ、肘関節の外側の痛みを訴えます。
リハビリがとても大切ですが、難治性の場合は手術が必要になることもあります。